お茶の歴史

茶の原産地は、ミャンマー北部から中国雲南省にまたがる一帯である。
茶を飲む習慣がはじまったのは、紀元前3世紀ごろの中国で、当初はできものや膀胱の
痛みよけ、眠気覚ましなど主に漢方薬の一種として利用されていた。
やがて、酒を戒める仏教の伝来とともに、三世紀なかばから純粋に嗜好品として飲まれ
るようになり、それからほぼ一世紀を経て本格的な茶の栽培が始まっている。
茶は製法によってさまざまな種類に分けられるが、大別すると、発酵させない緑茶、半発
酵のウーロン茶、発酵させる紅茶、の3種類になる。
なお、緑茶を運ぶ途中に偶然船倉で自然発酵して紅茶になったという逸話はよくできて
はいるが、まったくの作り話なので念のため。
中国・元代の14世紀になると、茶はシルクロードを経由して、ロシアからインド、ペルシャ、
遠くトルコへ伝えられた。
陸上ルートに遅れることおよそ300年、中国・福建地方の厦門(アモイ)を積み出し港とし
た茶は、海路を通じて東南アジアやヨーロッパ各地へ広まっていった。
当時海上ルートを独占したのははじめはオランダであったが、1669年に英国東インド
会社が中国から直接買い付けることに成功したため、英国は茶を含む中国貿易を独占
するようになった。
最初は英国でも緑茶が飲まれていたが、硬水の水質がタンニンの多い発酵した茶に適し
ており、同時に肉食中心の食事には、濃厚な味の紅茶の方がよりマッチしたのであろう、
緑茶よりも紅茶が好まれるようになった。
さらに、英国は19世紀にインドやスリランカで大規模なプランテーションを展開して、
世界の紅茶市場を制すると、英国のみならず中東やヨーロッパ諸国はほとんど紅茶に
切り替わってしまった。
しかしながら、英国による紅茶の独占販売と高税を嫌ったフランスや米国などでは、
庶民の嗜好はおのずと茶からコーヒーへとシフトするようになった。
このような理由によって、のちのち紅茶は英国、コーヒーは米国という図式が定着した
という。
参考 : 「 食の歴史 」 辻原康夫氏 著 河出書房新社 発行

