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顔は 「 心の窓 」

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顔が他の人に与える印象において、目鼻立ちが整っているかどうかといった造形的な

側面が影響してしまうことはやむを得ない。

しかし、もっと影響が強いのは、豊かな表情である。

顔は「 心の窓 」である。

そして、人をぐっと惹きつける顔とは、人間の奥深い喜怒哀楽を映し、内と外をつなぐ、

いうなれば風通しのいい窓として役割を果たす。

その人の内面がにじり出るような表情。 それがわたしたちの社会的なコミュニケーション

を支えているのである。

わたしたちは日頃、知らず知らずのうちに相手の顔を見ながら相手の内面や心の動きを

察し、コミュニケーションをしている。

( 中 略 )

眉を「 顔の額縁 」と呼ぶこともあるそうだが、たしかにどんな額に入れるかで、絵の表情

が大きく変わるように、眉の形一つで表情も顔立ちも、そしてその人の性格さえも、異なって

見える。

女性の化粧でも、とりわけこのような眉、そして目や口元といった表情を左右するような

パーツが意図的にメイクされるのは、このようなわけがあるのだ。

じつは、バードウォッチャーが羽の細かい特徴で鳥を識別するときのように、複雑な対象

の細かい特徴を認識するときに活動している大脳新皮質の右半球にある「 紡錘状回 」

という神経細胞が、人間の顔も認識している。

表情筋のわずかな動きを察知し、情報として処理しているのである。

顔の表情の微妙なニュアンスをわたしたちは読み取っているのだ。

これまでのさまざまな研究から、人間は非常に多くの情報を意識的、無意識的の顔から

得ており、それがコミュニケーションの成立に不可欠であることがわかってきた。

人間には、他者の顔を見ることで、その内面を類推する能力があることがあきらかになって

きたのである。

( 中 略 )

そもそも顔は脳のモニターである。

心は見ることができない。

コンピューターほど単純ではないものの、入力された情報が脳の中で処理され、なんらかの

かたちで顔に表れる。 そして他者にわかるように顔にモニターされる。

出典 : 「 化粧する脳 」 茂木健一郎 著 ( 株式会社集英社 発行 )

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